ボクの体験したチェルノブイリ
2009年5月28日(木) 01:00 JST

| ボクの体験したチェルノブイリ エストニア人リクヴィダートル(事故処理参加者)の手記 ティート・タルラップ著 山下 史訳 税込価格: ¥800) 出版 : エストニア・チェルノブイリ・ヒバクシャ基金 サイズ : B6 19cm / 167p ISBN : 発行年月 : 2004.4 |
チェルノブイリ原子力発電所の事故の後、その事故処理にあたった兵士の話(日記)です。
なんとなく似たような境遇の話で、「アトミックソルジャー」というのがありますが、
要するに、本人の意思ではなく、核(兵器)のモルモットにされた人の記録です。
・・・というと、なんとなく悲壮というかショッキングというか、
センセーショナルな内容かと思うと、この本はかなり内容が違います。
非常に、淡々と、チェルノブイリ原発事故処理の日記が書かれています。
・・・この淡々とした内容は、そう、「アンネの日記」を思い出しました。
「アンネの日記」は、ドイツ占領下のユダヤ人女性の日記ですが、内容は、本当に、
いたって普通の女の子の日記です。
迫害をうけて悲痛に叫ぶ記述も、将来に悲観する悲壮な内容も書かれていません。
この本も同じです。
危険な核の事後処理に携わる、危機感、悲壮感などとはまったく無縁な内容で、
ぶっちゃけ、最初から最後まで、軍隊やロシアに対する悪態をついているだけの本です。
しかし、どうでしょう、まさにこのような本(日記)にこそ、
現実の(核施設の事故とその処理の)姿が映し出されているような気がします。
「アンネの日記」が単に平凡な少女の日記であったにもかかわらず、
なぜあれほど多くの人々に読まれ、考えさせられたのか、
その理由に通じているのではないかと思います。
この本は、、、
核施設や核兵器の事故は、平凡な人生においてまさに平凡に起こりうる出来事で、
そしてきっと将来、我々や我々の兄弟が平凡にその事故処理をして、
そして平凡に(他の人より少しだけ早く)人生の終わりを迎えることが、
平凡に起こり、起こっていたことを、平凡に教えてくれているのだと思います。
核施設で事故がおきたらどうなるか・・・
放射線による遺伝子の異常や、多数の犠牲者、
いろいろなことが起こる事を想像すると思います。
想像するだけで、顔は歪み、悲痛な思いに駆られるでしょう。
しかし、現実には、この本に書かれていることが起きる(た)のだということ知れば、
それは非常に淡々と平凡であるので、辛く悲しい思いからは開放されるでしょうが、
もっと暗くはかない現実を認識させられることになるはずです。
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